先天性心疾患と共に生きていくことを選んだあなたは、先天性心疾患という病気を乗り越える勇気を持った「勇者」です。
心臓病は確かにあなたにとって生まれながらの大きなハンディといえます。ただ、その生まれながらのハンディを、心臓を止める手術などで乗り越えることができた強さと誇りをあなた自身が持っていることを忘れないで下さい。心臓の手術が難しくとも、病気と闘い続ける勇気を持っていることを忘れないでください。それがあなたの原点なのです。
もしかしたら、あなたは、あなた自身が小さい頃に心臓の手術を受けたことをもう忘れているかもしれません。また自分の病気は何かと聞かれても、よく答えられないかもしれません。でも、小さい頃に頑張ったあなたがいたからこそ、今のあなたは元気でいられるのだと思います。
その小さい頃に頑張ったあなた自身に対する「リスペクト」のためには、あなた自身が、自分の病気のことをちゃんと理解して、必要に応じてきちんと周りの人に説明できることが必要です。またどんな手術を受けたのか、手術後どんな注意が必要なのか、自分のこととして考えることができると、あなた自身のこれからの生活をよりよくすることができます。
自分の心臓病のことをよく理解できたら、次にこれから自分がやりたいことを宝探しのように見つけて下さい。「自分ができること」ではなく、「自分がやりたいこと」の宝探しです。 自分がやりたいことが見つかったら、あなた自身のいろいろな「未来予想図」を書いてみることをお勧めします。どうしたら、自分がやりたいことができるようになるのか、どんな準備をしたら良いのか、どんなサポートが必要なのか、どんなことをできるのか、自分の未来予想図に沿った作業は楽しい作業になると思います。
うまくいかないときもあるかもしれません。でも、あきらめずに一歩ずつ一歩ずつ前に進んでいけば、そこには今までとは違った世界が見つかると思います。
あなたは、一人ではありません。頑張るあなたには、応援する家族があり、人がいます。つらいときには誰かを頼りましょう。助けてほしいと声を上げましょう。我慢する必要はありません。きっと誰かが手を差し伸べてくれます。
”心臓病と共に生きる” という強い覚悟をもったあなたへ。
あなたの明日が、あなたにとってもっと素晴らしい明日にならんことを心からエールを送ります。
2019年3月
長野県立こども病院 循環器センター
安河内 聰(本研究班班員)