障害者手帳を取得していると、障害者枠を利用した就職が可能になります。従業員を45.5人以上雇用している企業は、全従業員のうち障害者手帳取得者の占める割合(法定雇用率)を2.2%以上とする義務があります。障害者枠の利用を検討される場合は、ハローワークでの相談や障害者向け就職相談会・セミナーなどへの参加を検討してみましょう。また、就労が難しい場合には、就労移行支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型の利用が可能です。就労移行支援は一般企業への就職に向けた準備を行う事業です。就労継続支援A型は現時点では一般企業への就職が不安や困難があるものの、雇用契約に基づいた就労が可能な方が、雇用契約に基づいて(最低賃金以上の賃金を確保して)働ける制度です。就労継続支援B型は通常の事業所への雇用や雇用契約に基づく就労が困難な方に、授産的な活動として利用していただくものです。
難病患者は障害者枠を利用した雇用の対象にはなっていません。しかし、ハローワークに配置された難病患者就職サポーターなどによる就労支援を受けることができます。また、障害者手帳取得者と同様に、就労移行支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型の利用が可能です。また、小児慢性特定疾病児童等自立支援事業の一環として、就労支援が行われていることもあります。
就職に向けた準備は、就職活動の直前になってから行っても不十分となることがあります。移行医療を通して、ご本人が病気のことを理解したうえで、周囲にどのような配慮をしてもらいたいか、そのために誰に、どこまで、どのように病気のことを伝えるべきかを、こどもの頃からご家族および医療・福祉・学校関係者と話し合っていくことが重要です。
移行期医療支援体制整備
2018年度以降、各都道府県に1つ以上、移行期医療支援センターが設置されることになりました。移行期医療支援センターは、成長に伴って小児科やこども病院から成人医療機関へ移行する支援を行う役割も担いますが、先天性心疾患患者さんが社会で自立した生活を送れるよう、小児期から成人期までの切れ目のない社会保障制度の利用や、ご本人の病気に関する理解を促すことも期待される役割の一つです。
2019年3月
横浜市立大学看護学専攻がん・先端成人看護学 准教授
落合 亮太